2005.06.26

「ろくべえ まってろよ」


ろくべえまってろよ  ろくべえまってろよ
 灰谷 健次郎 (著), 長 新太 (イラスト)
 出版社: 文研出版
 ISBN: 4580813936 ; (2005/02)


 ここしばらく忙しくてココログの記事更新もままならないくらい時間に追われるようになってしまったσ(^^;)ですが、この生活はまだもう少し慣れるまで続きそうです。自分なりのリズムが掴めるようになれば、もう少し余裕ができるとは思うのですが・・・。 いまだ書きかけのまま完成していない記事がいくつかあるので、それは追々書いていくつもりではいます。

 わたし個人のことは置いといて。
 今日は、久々にある絵本について書いてみようと思い、しばらくぶりに記事をアップしようと思います。
 タイトルの絵本についてです。

 今日なぜこの記事を書こうかと思ったかと言うと、あるニュースを目にしたからです。
 http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20050626i504.htm
 その記事は、読売新聞のものです。
 掲載期限が切れると見られなくなるかもしれないので、以下に引用します。


絵本作家の長新太さん死去
 絵本作家の長新太(ちょう・しんた、本名・鈴木●治=すずき・しゅうじ)さんが25日、中咽頭ガンのため東京都内の病院で死去した。77歳。(●は「秋」の下に「手」)
 告別式は7月1日午前9時半、品川区西五反田5の32の20桐ヶ谷斎場。喪主は妻、フミさん。自宅は公表していない。
 1958年に絵本を初出版してから、ナンセンスとユーモアのある作品をカラフルで暖かみのある配色で描き、これまでに400冊以上を発表した。代表作は「おしゃべりなたまごやき」「キャベツくん」「ゴムあたまポンたろう」など。読売国際漫画大賞の選考委員も務めていた。
(読売新聞) - 6月26日13時24分更新

 その記事を目にして、わたしは、長新太さんが絵を担当なさった絵本を持っていたことを思い出しました。
 学生の頃、教育実習で幼稚園に行った時に、実習生が交代で毎日帰りに必ず絵本の読み聞かせをするという時間がありました。一クラスに5~6人の実習生がいたので、1週間に1度は必ず当番が回ってきました。実習は1か月ほどで毎回何を読もうかな~と悩みましたが、その悩んで選んだうちの1冊がこの「ろくべえ まってろよ」でした。
 幼児(3~6才児)への読み聞かせというのは、本を選ぶのが実は意外に難しくて、わたしはわたしなりにいくつかのポイントを絞って選んでいたのですが、そのポイントに合う絵本はなかなかなくて苦労しました。
 読み聞かせ用の本と自分の好きな絵本というのは、ちょっと別物なのだということをこの時気づきました。わたしは、それまでは、絵が綺麗なものが好きで永田萠さんや津田直美さんなどの絵本が好きで持っていたのですが、それは必ずしも子どもに向けたものではなくて、どちらかと言うとわたしが持っていたのは「大人のための絵本」ばかりでした。

 そこで、わたしが読み聞かせのために必要かなと考えたポイントは以下の5つ。
1.絵に魅力がある・・・綺麗なだけじゃダメ!迫力や面白さが必要!
2.ハナシが単純なこと・・・登場人物が多すぎず、複雑な舞台設定はハナシが掴みにくい
3.言葉が分かりやすい・・・年齢に合ったもので普段使い慣れている言葉の方が親しみが沸きやすい
4.絵がごちゃごちゃしていないこと・・・まとまった人数への読み聞かせは、絵が大きくないと子どもが見づらい
5.会話調の言葉遣いで書かれていること・・・読む側としては感情移入して読みやすい
 この条件に合ったものを探すというのがマイポリシーでした(笑)
 これがなかなか難しくて、そのわたしのこだわり条件に合格して、見事読み聞かせ絵本にこの「ろくべえ まってろよ」も選ばれたという訳です(笑)

 ストーリーは、とても単純でほとんどお芝居(舞台演劇)の世界と一緒で、ずっと同じ場所で話が進みます。
 台詞も臨場感に溢れていて、読み聞かせする側としても、とても読みやすくて助かりました(笑)
 話は、穴の中に犬のろくべえが落ちてしまったといところかに始まります。
 どうなることだろうと思いながら、次は?次は?と、話に引きこむ力のある力強い絵も魅力です。
 そんな懐かしさを持って今日はこの絵本を取り出して来ました。
 長新太さんのご冥福をお祈りいたします。

追記:アマゾンには表紙画像がなかったのですが、探したところ、
@nifty Books(bk1)の方には表紙の画像がありましたので、リンク貼っておきます。
ろくべえ まってろよ

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2005.04.19

「リリパットランド」


リリパットランド  リリパットランド
 ひらいたかこ (著)
 価格: ¥2,548(税込)
 大型本: 59 p ; サイズ(cm): 26
 出版社: 鈴木出版
 ISBN: 432301239X ; (1990/11)


 先日、小人のお話について書いたので、小人つながりで、この絵本を紹介します。
 実は、小人にまつわる話というのが好きで、他にも色々読んでいたりするので、また機会を見つけて書いてみたいと思います(^^)

 わたしは、ひらいたかこさんと言えば、マザーグースの挿絵を描いた人という印象が強かったのですが、書店でこの絵本を見つけた時、即買いしてしまいました(^^;)
 これも結構前の本で、出版は1990年です。

 構成は、ティンクル一家とホッパー一家という小人の一家の四季折々の姿を描いた二部構成になっています。
 絵本というより、画集と言ってもいいかもしれません。短い文章がついているけれど、絵を魅せるという感じの構成に近いです。
 ひらいたかこさんの絵は、黒インクの輪郭に、彩色はカラーインク(だと思う)でされていて、色のグラデーションがとても綺麗です。
 たぶん原画で見たら、もっといいんだろうなぁ~と思います。一度見てみたいですが、都会でしか、展覧会はやっていないのです(/_;)
 この中では、わたしは秋の情景を描いたものが好きです。
 きっとポストカードになっていたら、季節のお便りを描くのにいいなぁと思います。どこかで販売していないかな~?

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2005.04.04

「おひしゃまだっこしてきたの」


おひしゃま だっこしてきたの おひしゃま だっこしてきたの
 今井 和子 (編集), 村田 道子 (編集)
 価格: ¥1,631 (税込)
 単行本: 207 p ; サイズ(cm): 19 x 13
 出版社: アリス館
 ISBN: 4752000520 ; (1996/08)


 この本と出会ったのは、かなり前の話です。
 実は、正確にいつかは覚えていません。
 本が出されたのが、1996年とありますから、それよりは後でしょう。
 わたしは、学生時代は幼児教育を専攻していたので、幼稚園での教育実習にも行きました。本屋さんでたまたまこの本を見かけた時、その時のことを思い出してつい買ってしまった訳です。

 この本は、いわゆる幼児と呼ばれる年齢の子どもたちのことばを集めた本です。
 周りに小さい子どものいる環境にある方はご存知だと思いますが、子どもの発想って、全然大人の及ばないところにあるんですよね。
 読んでみると、不思議と笑みがこぼれてきます。
 心の中がほんわかとした気分になります。
 人間は大人に近づいていくと、子どもだった時のことを少しずつ忘れていってしまいます。
 それはそれで「成長」という発達の過程でもあるのですが、この本を読むと、忘れてしまうのも哀しいなぁと思います。
 この本は、そういう気持ちを思い出させてくれるのです。わたしは、せめて子どもが何気なく言った言葉を「あらそう」と聞き流すような大人にはならないように気をつけたいなと思わせられます。

 ついでに、わたしが学生時代に実習に行った時に印象深かった出来事もいくつか紹介します(^^ゞ


 先生(男)と誕生日が同じという女の子がいました。
 で、その子と友達の会話。
園児 「○ちゃん、先生と結婚するんだよ」
私 「え、どうして?」
園児 「だって、誕生日一緒なんだもん!」
私 「・・・(どういう思考回路や)」


 今日で実習が終わりという日、ある男の子が怒ってばかりいるのです。
 で、帰りの会が終わって、降園時間になってからやっとその訳が分かりました。
 「先生のこと、好きだって言ったのに~」と。
 好きだって言ったのに、今日で実習が終わりで、もう会えなくなると怒っていたということが判明。
 その子にとっては、「好き」と言えば、「ずっと会える」ということだったらしいです。
 だから、好きって言ったのに、どうして大学に帰っちゃうの、と怒っていたみたい。


 女の子たち数人と外国に行ったことがある?という会話をしていた時のこと。
園児 「あたし、ハワイに行ったことあるよ」
私 「すごいねぇ、先生は外国なんてまだ行ったことないよ」
園児 「でもね、あたしはあまり行きたくないんだけどね」
私  「そうなの?」
園児 「うん。でも、ハワイに行くと、お父さんとお母さんが喧嘩しないから、一緒に行ってあげてるの」
 「・・・(^^;)」

 子どもって、目の付け所が面白いですよね(^^)
 でも、たまに大人の言ったことを覚えていて、とんでもないところで言ったりしますので、注意は必要ですね~。
 幼稚園とかでこどもの話を聞いていると、そこのお父さんとお母さんの仲が結構バレバレだったりしますので・・・(苦笑)

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2005.03.10

「絵本 ことばあそび」


絵本ことばあそび 絵本 ことばあそび
 五味 太郎 (著)
 価格: ¥1,260 (税込)
 単行本: 48 p ; サイズ(cm): 25
 出版社: 岩崎書店
 ISBN: 4265903045 ; (1982/01)


 またまた五味太郎さんです。
 この本は、前に紹介した「ことばあそびうた」と同じ系統といえるかもしれません。
 日本語の面白さを色んな面から追求していて、それがまた楽しいです。
 「ことばあそびうた」は、ことばと絵がそれぞれ違う方が描いていましたが、こちらは、全て五味太郎さんの手によるものです。
 五味さん独特のコミカルな絵がよく合っています。

 知らない方のために、、、
 五味太郎さんの仕事(絵)で有名なところのは、「パナソニック」のCMなら目にしたことがあるかもしれません。アニメで描かれたパナソニック坊や(?)と犬を描いたのが五味太郎さんです。
 そういえば、岡山のお土産品の「きび団子」のパッケージも五味さんでした(前にスーパーの「全国銘菓まつり」みたいな催しをやっていたので購入した)。
 たぶんある程度児童書のが充実している本屋であれば、どこの書店でも取り扱っているので、興味を持たれた方は、チェックしてみてください(^^)

 さて、この本の構成ですが、次のような感じです。
「1.あいうえお あそびうた」
「2.にたものことばあそび」
「3.かがみことばあそび」
「4.かいだんことばあそび」
「5.おなじ じ ことばあそび」
「6.おなじことばうた」
「7.ことばそろえうた」
「8.くぎりことばあそび」
「9.かさねおとことば」
「10.はなのなまえあそび」
「11.あて字おもしろあそび」
「12.かぞえうたあそび」
「13.もうひとつことばあそび」

 親子で楽しむのにちょうどいい絵本だと思います。
 例えば、1は、「あいうえお」のそれぞれを頭文字にして、一つの場面を作る、というものです。ひとつやふたつは、考えられそうですが、あ行~ら行まで全部あるうえ、が行とかぱ行なんかもちゃんとあるのです。
 1とか4とか5あたりは、自分で色々なパターンを考えられそうで、楽しそう。
 案外語彙の多いハズの大人が子どもに負けてしまったりして(笑)
 語彙の多さよりも、着眼点とか発想のユニークな方が有利かも。

 わたしも、学生時代教育実習に行った時、1のアイデアをやってみようかと思ったのだけど、対象が幼児だったので、カリキュラム上はちょっと難易度が高すぎるなぁ~と思ってやめました。
 たぶん言葉や文字を覚え始める幼児期よりも、小学校に入ってある程度系統立てて学習し始める小学校低学年より上の子どもにちょうどいいのかも?と思います。
 もちろん、ただ絵を眺めて言葉を声に出して読んだりするだけなら、幼児期でも充分楽しめます。

 読み返していて思ったのですが、もしかしたら、日本語を勉強し始めた外国の方がこれを読むと、勉強になるかもしれません。
 日本語って、英語などよりも同音異義語が難しいと思うんですが、そういうポイントもしっかり押えられている気がします。しかも、ほとんどひらがなで書いてあるので日本語入門書としてもいいのかな?という気がします。
 ずーっと前ですが、英会話サロンというとこに通っていた頃、そこの主催者であるフランス人の方が、「日本で何が大変って、新聞を読むのが一番大変」とおっしゃってました。どうも、漢字、ひらがな、カタカナが全部混じっているので、アルファベット圏の人にとっては、超難関なようです<活字媒体

 最後に、12にある「かぞえうたあそび」の「ひとというやつ」は、なかなか深いです。
 さらっと書いてあるけれど、よくよく考えると、「そうかも・・・」と思います。
 こどもの本だと思って、侮ってはいけません。
 何か悩んだり、くよくよしている時に、声に出して読んでみると、楽になるかもしれないので、ゼヒ!

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2005.03.05

「さる・るるる」


さる・るるる五味太郎・ことばあそびえほん さる・るるる
 五味太郎 (著)
 価格: ¥735 (税込)
 絵本: 24 p ; サイズ(cm): 19
 出版社: 絵本館
 ISBN: 4871100227 ; (1980/01)


 子どもが読んでも、大人が読んでも、楽しめる本だと思います。
 ページをめくる度に、「おぉ、そう来るか!」と楽しくなってしまいます。
 ネタ的には、簡単に誰でも真似できるものなのですが、ストーリーを作るとなると結構難しいです。
 猿といえば、絵本では、「ばざーるでござーる」「おさるのジョージ」などが有名ですが、わたしは、この本を推します。
 全て「さる・~る」という言葉だけで書かれています。
 「る」で終わる動詞だけよく集めたなぁと感心し、ちゃんと話になっているので、それにまた感心します。
 ちなみに、このアイデアの別バージョンで「ばく・くくく」というのもあります。
 わたしとしては、「さい・いいい」「いぬ・ぬぬぬ」とかそんなのもあったらいいな(笑)

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2005.02.28

「ことばあそびうた また」


ことばあそびうた (また)日本傑作絵本シリーズ  ことばあそびうた また
 谷川俊太郎 (詩), 瀬川康男 (絵)
 価格: ¥945 (税込)
 絵本: 36 p ; サイズ(cm): 23
 出版社: 福音館書店
 ISBN: 4834008401 ; また 巻 (1981/01)


 前に紹介した「ことばあそびうた」の続刊です。
 さらにナンセンス度がパワーアップしてます(笑)

 この本は、頭をパーにして、子どもの頃に戻って、読んでみるのがおススメです。
 なんでやねん!(関西人じゃないけど)という突っ込みはナシ!
 そのナンセンスさが癖になるのです。

 個人的には「ほっとけ」が好きです。
 ある意味、負け犬人生のよーな(笑)
 その後に、「たね」という順番が未来は明るいと案じさせて、もしかしたら深いのかも?(深読みしすぎだ)

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2005.02.23

「ことばあそびうた」


ことばあそびうた日本傑作絵本シリーズ
 ことばあそびうた 日本傑作絵本シリーズ
 谷川 俊太郎 (詩), 瀬川 康男 (絵)
 価格: ¥945 (税込)
 絵本: - ; サイズ(cm): 23
 出版社: 福音館書店 ;
ISBN: 4834004015 ; (1973/10)


 この本との出会いは、学生の時です。
 幼児教育を専攻していたのですが、その専門教育の講義の中で先生が取り上げていたのがきっかけです。
 
 詩というものは、その内容が共感を呼ぶものであることが必要であると思われますが、ナンセンスの詩というものも存在します。
 ナンセンス詩の代表といえば、「マザーグース」がすぐ思い浮かびます。読んでみても、何を言ってるかサッパリ分かりません(笑) 裏に深い意味が隠されているとする解釈もありますが、わたしとしては、単純に「ことばあそび」なのではないかと思っています。
 (・・・たまに、ハッとさせられるような意味深なものもありますけどね)

 この本は、日本の「マザーグース」と言ってもいいかなぁと思います。
 読んでみると、頭がぐるぐるしてくること間違いなし!

 ぐんまのとんまって何???
 かっぱがらっぱをかっぱらった? なんで? 何のために?
 木をつつかないきつつきってきつつきと言えるの?

 などなど、どうでもよくクダラナイ疑問が沸いてくること請け合いです(笑)
 なので、頭を真っ白にして、声に出して読んでみましょう。
 結構癖になります(^^;)
 早口で読んでやる~と挑んで敗れてみたり、と違う楽しみ方もあったりします。
 
 韻を踏むとか、そういう言葉の遊び方は、「マザーグース」を有する英語にはかなわない、と思っていましたが、日本語だってなかなかどうして侮れません。
 そういうことをやってのけたのも、マザーグースを訳した谷川俊太郎さんだからなのかもしれません。
 谷川俊太郎さんは、日本を代表する詩人なんだなぁと実感しました。
 しかもこれはオリジナルです。伝承されてきたNursery rhymeとは違い、考え出したものであるということに、凡人のわたしは、全然考え付かないような視点だと感心することしかできません(^^;)

 また、この本の良さは、瀬川康男さんの挿絵にもあります。このとんでもなくナンセンスな本に挿絵をつけてしまえること自体がスゴイ!
 しかも、絵と言葉がとっても合っているのです。
 ですが、もし叶うのなら、また違う方の挿絵でも見てみたいと思うのは、わたしだけでしょうか?
 五味太郎さんとか安野光雅さんとかの挿絵も見てみたいかなぁ。

 この中で好きだ~と思ったのが、「ののはな」と「き」です。
 触発されて、こんな絵も描いてました(笑)↓
konokinannoki
 ザウルスの手描き機能を使って描いたものです。
 今から5年くらい前に描きました(^^;)

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2005.02.21

「100万回生きたねこ」


100万回生きたねこ講談社の創作絵本  100万回生きたねこ
 佐野洋子 (著)
 価格: ¥1,470 (税込)
 絵本: 31 p ; サイズ(cm): 27 x 25
 出版社: 講談社
 ISBN: 4061272748 ; (1977/01)


 この絵本は、中学生の頃から読んでいた雑誌「月刊MOE」(当時は偕成社から発行、今は白泉社から発行)のロングセラーの絵本の特集では必ずといい程取り上げられていて、すごく有名すぎたお陰で、知ってはいたけれど、長い間手に取らないままに終わっていました。
 わたしは、自分で収入を得るようになってから、毎年自分の誕生日に自分へのプレゼントということで、普段はなかなか手が出ないものを買うことにしています。何年か前にそうして手に入れたのがこの本です。この本を知ってから10年くらい経ってから手に入れたというわたしにとっては曰くつきの絵本です(笑)

 家に帰って、手にとって読んでみて、涙しました。

 佐野洋子さんの絵は、独特な雰囲気を持っていて、かわいいだけの甘さみたいなものとは無縁な絵です。
 よくあるかわいい子供向け~みたいな絵本とはちょっと違います。
 主人(主猫?)公の猫も全然可愛くなくて、ちょっと悪ぶった感じがします。
 ふん、俺は百万回生きてるんだぜ、というプライドが見え隠れするような表情がよく出ていて、さすがだなぁと思います。こういうちょっと複雑なものを描かせたら、佐野さんはうまいなぁと感心してしまいます。

 文章は、淡々と続いていきます。
 感情を表現する言葉はそんなになく、あくまで事実だけが綴られています。
 でも、そのことで、読み進めていくうちに、何とも言えず切ない気持ちになってしまうのだと思います。

 百万回生きようが、百万年の長生きをしようが、幸せかどうかというのは、そういう時間や回数で量れるものではありません。
 自分が幸せだと感じられなければ、どんなに他者から見て恵まれた環境にいたとしても、そこに幸せは存在しないのです。
 人の価値観はそれぞれで、必ずしも自分の物差しで計れるものばかりではありません。
 他人からどう思われようと、自分は幸せだと感じられる自分でありたいと思います。
 今の日本ではとかく他人と競争して優劣を競うような場面に多々遭遇します。そんな時代でも、こういう絵本が長い間ロングセラーとして愛され続けているんですから、いつの時代にも不変のものというのは絶対にあるのだとわたしは思います。

 読む人や読むタイミングによって、どう感じるかは人それぞれかもしれません。
 でも、感じるものはきっとある、と思える本だと思います。
 わたしは大人になってから、この絵本を手に取りましたが、子どもの時に読んでいたらどう思っていたのかな?というのが知りたくもあります。今となっては分からないのがちょっと残念です。

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